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創造文化企画プロデュース公演『脳内会議!!!』(17/08/14-15)

「はじめに」

構想期間約19ヶ月。

2016年11月に着手した、この演劇企画は、2017年8月15日、16日の全4公演を経て、10月15日に開催された報告会をもって終了しました。

遡ること2015年11月、学生アートプロデュース団体として創造文化企画は発足しました。

その最終目標であり、集大成が、この【演劇企画】でした。

今までの企画は、力をつけるための準備と言っても過言ではありません。

そして、この企画の終了をもって3年生は引退し、次の代へ引き継ぎました。

構想段階からの、この2年と半年は、今までの人生の中で最も濃い時間でした。人生で、一番頑張ったと、誇りを持っています。

今まで創文企画に関わってくださった全ての皆様へ、メンバーを代表して、心から感謝の意を表します。

2017.11.1 学生アートプロデュース団体 創造文化企画 代表 入江恭平

「PM(プロジェクトマネジメント)」

(ある教授から勧められたこの一冊から、創文企画の活動は大きく前進しました)

創文企画は、今までの企画を全てプロジェクトマネジメント(PM)の手法に則り、進めてきました。

プロジェクトマネジメントとは、ビジネスの場で主に使われている経営学の手法で、あらゆるプロジェクトをシステマチックに効率よく成功に導くためのツールです。

プロジェクトは、4段階に分けられ、それぞれ、「構想」「計画」「運営」「完了」と呼ばれます。

今回のアーカイブは、そのPMの流れに沿って書いていきます。

(彼も創文企画のメンバーだが、今回は役者も兼任することに)

「構想」

2015年4月から、演劇をやろう! と考えていました。

実行に移したのは団体発足から1年後の2016年11月。

いくつもの企画を経て、ようやく本格的に「演劇」に着手しました。

まずは、メンバーと「どんな演劇をやりたいか」を話し合います。

私が今までの経験の中から感じていた「若者の演劇離れ」という問題から、企画のコンセプトを

演劇に興味はあるが、観るきっかけがない都内・その近郊在住の大学生(専門・短大含む)に気軽に観にきてもらえる公演をし、演劇の魅力を広め、ポジティブなイメージを持ってもらうことで演劇人口を増やす

としました。

「計画」

次に、そのコンセプトを最大限に発揮させるために何ができるか、具体的に戦略を考えます。

はじめに行なったことは「マーケティング」でした。

ターゲットである「演劇を観たことのない大学生」は「なぜ演劇を観にいかないのか」に焦点を当て、

①インターネットによる調査

②Webアンケートによる調査

③実際に観劇に行く実地調査

を実施し、そこから発見した問題を元に戦略を練っていきます。

次に、スケジュールや予算を決め、それらを盛り込んだ企画書を作成します。

(企画書。この一枚から企画は始まります。※画像はウェブ掲載用に編集)

「運営①」

運営とは、企画を実際に動かしていく段階です。Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Act(修正)のサイクルをひたすら繰り返していきます。

一言で言えば、計画を実行していき、その中でリスクやズレが出てきて脱線しそうな時に、上手く対処し、成功へ導く、という作業です。

(観劇ついでに立ち寄れそうなスポットに実際に足を運んで交渉し、

劇場周辺マップを作成!)

2017年1月になると、企画書を元に実際に行動していく段階になります。

一緒に活動していくアーティストを探す中で、今回の演劇は「プロデュース公演」の形を取ることにしました。

プロデュース公演とは、プロデューサーがどのような演劇をやりたいか考え、劇団など所属関係なくキャスト・スタッフを集めて、主体となって運営していく単発の公演のことを指します。

実際に、メンバーのつながりの中から、一緒に企画をやってくれそうな候補者をあげ、興味を持ってくれた人に、企画書とプレゼン資料を持って、企画の説明をします。

(当日配布したパンフレットの一部。全8ページでとっても手が込んでいます)

そうして、最終的には、演出・脚本、出演者、音響、照明、制作スタッフ、合わせて13人の同志が集まり、創文企画メンバーと合わせ、21人のチームとなりました。

以下の組織図の通り、創文企画はプロデューサーとして全体をまとめます。そこから舞台部と制作部に分かれる組織が生まれました(創文企画は制作も兼任します)

そして、3月19日の顔合わせを経て、4月から本格的に稽古・制作作業を開始します。

4月から7月の稽古・制作作業は、毎週日曜日の10:00~15:00です。

ポイントは、制作メンバーを十分に用意し、役者は稽古に専念してもらえる環境を作ることでした。

当たり前のようですが、実は一般的に劇団の制作専門のメンバーは0~2人、人手が足りない分は役者が兼任します。

しかし、そうすると役者は自分の演技に集中しづらいのです。

それを防ぐために充実させた制作部は全12名。

広報動画の公開や、情報をひとまとめにしたHPの作成、さらに企画のこまごまとした管理など、制作部が担当するその仕事は多岐にわたります。

今回は広報班と庶務班に分かれ、以下のような分担で進めました。

「運営②」

では、プロデューサーの仕事はなんでしょうか。

私が参考にしている本にはこのように書いてありました。

①上位20%の重点管理

②仕事を振る

③メンバーとのコミュニケーション

④PDCA

⑤問題解決

(日本プロジェクトマネジメント・フォーラム編『トコトンやさしいプロジェクトマネジメントの本』日刊工業新聞社,2003年)

つまり、企画の「舵取り」です。

しかし、私の考えでは

「舵取り」と「人のマネジメント」

です。

この企画で最も予想外だったのは、人間が起こすリスクの多さでした。

役者の降板、体調不良によるスケジュールの変更、体調・メンタル・モチベーション管理、その人に合わせたコミュニケーション、などなど……。

プロジェクトでは時間や資源が制限されていますが、人も限られています。

ひとりいなくなればその分企画に影響が出るため、「人の管理」は、大きく比重を置くべき仕事だったのです。

「舵取り」と「人のマネジメント」、この二つができるかどうかがプロデューサーの力量と企画の明暗を分けるでしょう。

これは、座学の授業では絶対に学べないことです。

そして8月に入ると、ここからの2週間は怒涛の稽古・制作作業日を迎えます。

舞台部のメンバーは、目前に迫る本番に集中して仕上げの期間に入ります。

プロデューサーの仕事は、みんなが緊張し、疲れてきているので、怪我や体調管理などに注意し、ケアに集中します。

一方で、制作部の仕事は落ち着いてきます。

そのため、お客さんを呼ぶこと、本番の打ち合わせ、初日乾杯、打ち上げの設定など、公演後のことも視野に入れて動いていきます。

(当日配布したアンケートは、書きやすさを重視して、何度も作り変えました)

8月6日に本番を想定したゲネプロを行ない、さらに熱の入った稽古を経て、本番前日の8月14日を迎えます。

この日から3日間が、実際に劇場で作業をする箱入り期間となります。

本番前日である箱入り初日は、朝から晩まで、舞台部、制作部、プロデューサー陣、みんなでステージを作り、客席を作り、実際に使われる舞台でリハーサルを行ない、音響や照明を確認しました。

(8月14日の箱入り初日、リハの様子)

そして、いよいよ本番初日を迎えます。

本番の2日間に関しては、このアーカイブで特筆する必要はないでしょう。

企画は準備が9割です。しっかり準備して、あとは本番に置いてくるだけです。

ただ、トラブルもなく、最高の千秋楽を迎えることができたこと、全公演、クオリティの高い公演をお客様に届けることができたことは自負しています。

公演後のお客様の感想や表情を見ていると、ああやって良かったな、と心から思いました。

「完了」

公演は終わりましたが、企画はまだ終わりません。

企画に対する事後評価の段階に入ります。

企画評価の方法は、

・お客様からいただいたアンケート

・HPなどのWebコンテンツのアクセス数

・企画参加者、創文企画メンバーからのKPT

などから判断します。

ちなみにKPTとは、企画評価の方法で、

Keep(今後も続けていくべき良い点)

Problem(改善すべき点)

Try(今後挑戦すべきこと)

…の3点をまとめ、企画を振り返り、次回以降の企画に活かす経験則を確認する作業を指します。

反省会を開いてメンバーの評価を得た後、それらを書類にまとめます。この企画は規模が大きかったので、10月15日に内部向けの報告会を設定し、企画の総まとめを行ないました。

この企画に対して、大学の先生や演劇のプロ、友人、様々な方から、たくさんのお褒めの言葉をいただきました。

しかし、評価の結果、たくさんのことが判明しました。戦略は有効だったのか、それがどういう結果につながったのか、コンセプトは達成されたのかなどです。

例えば、ターゲットの来場数は、目標の割合に届きませんでした。

でもこれは決して悪いことではありません。創文企画を引退しても、私たちのプロデューサー、クリエイターとしての人生はこれからも続きます、ここから、さらに次はどうすれば良いかを考えていくことが、私たちを成長させ、よりクリエイティブな企画に活きてくるのです。

(7月。早朝からCMの撮影。助監督とCMキャスト)

「おわりに」

創文企画の根本は、

・面白いことを全力でやる

・プロデュースを通してスキルを身につける

・自分たちの好きなアート、文化を発信する

です。

全力で何かに打ち込むには、多くの時間と労力が必要です。色々な物を犠牲にしなければいけません。

同じ志を持った仲間と一緒に企画ができたことに感謝しています。

また、これほど本気でできる環境は、学校やサークルという狭いコミュニティの中では、なかなか出会えないでしょう。

もう学生生活では、巡り会うことはないかもしれません。この活動はそれくらい大きなものでした。

ここで得たスキル、人脈、リーダーシップ、プロ意識はどこに行っても活きてくると思います。

現に私は、ある劇団のプロモーションとして声をかけていただき、現在制作協力として参加しています。

今後やりたい企画もたくさんあります。

他のメンバーも、学生の枠を超え、いろいろなところで活躍をしています。

人生は一度きりです。

もっと色々なことを経験し、もっと成長して、いつまでも面白い人生にしたいと思います。

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創造文化企画プロデュース公演『脳内会議!!!』

会場:高田馬場ラビネスト

料金:500円+カンパ制

日時:2017年8月15日(火)16:00, 19:30

   16日(水)14:00, 17:30

主催:創造文化企画

「はじめて演劇を観る人に贈る、前代未聞の、全力告白エンターテインメント。」

(校閲:髙橋旦)


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